Vol.5 おいしい料理をつくる出汁(だし)
料理人は、だしの大切さを知っています。
時間と手間がかかりますが、市販のダシ調味料ではなく、本物の昆布やかつお節を使うことにより、料理の深みと味が広がります。昆布は海の中で光合成を繰り返しながらうま味を凝縮して成長しているので、そのまま使うことにより、自然の様々なミネラルがだしに移ります。
◇おいしい料理は、良質のダシと基礎調味料えらび。
おいしいだしは、良質の昆布やかつお節が必要です。基礎調味料も同じことですが、悪い食材を使うと、良い料理はできません。食材をおいしくするには、食材に使うだしや基礎調味料も良質なものを使用しましょう。良質のお豆腐なら美味しい塩やオリーブオイルだけでOKですが、食材・調味料が悪いとトマトや野菜など色んな盛り付けが必要となり、豆腐の味より他の食材の味が強くなってしまうケースがよくあります。
選び方は、自分の五感を頼りにしてください。基礎調味料なら一口食べておいしいと感じるもの。だしの素材なら、香りと味。昆布なら少しかじって美味しいと思うものを、かつお節なら香りがあるのと、削って間もないと感じられるふわっとしたものが良いと思います。昆布なら肉厚で乾燥しているものを選ぶといいでしょう。
◇だしの取り方
1.昆布だし
材料:水:10カップ
昆布:10cm
失敗しなくて一番おいしい昆布のだしの取り方は、寝る前に鍋に入れた水に昆布を入れて、冷蔵庫に置いておくだけ。10時間ぐらい置いておくと、おいしい昆布だしの完成です。すぐに必要な方は、鍋に水と昆布を入れて弱火にかけ、沸騰直前に昆布がゆれはじめたら箸で取り出して完成です。
2.かつおだし
材料:水:5カップ
かつお節:50g
水が沸騰したら、かつお節を入れて火を止める。10分程度そのままにして、かつお節が鍋底に沈むのを待ってからこす。自然にこすのが良い。かつお節は鮮度が命なので、袋を開けてしまったら、すべて使用してたくさん作りましょう。残ったかつおだしは、フリージングパックに入れて冷凍庫へ。
3.煮干しのだし
材料:煮干し(小ぶり):18~20匹
水:3カップ
昆布だしが澄まし汁なら、煮干しはみそ汁に最適です。みその大豆発酵と煮干しだしが重なって、味が豊かになるので、具の種類が少なくても美味しく頂けます。
**はらわたの部分を取り除く。**
良質の煮干しは、腹に張りがあり全体的に銀青色です。分からない場合は、食べておいしければ、それは美味しいだしがとれる証です。はらわたは、苦味の部分なので取り除きましょう。頭は良いだしがでます。
一番簡単な方法は、昆布と同じく水に
煮干しを入れて、冷蔵庫に10時間以上置くとOK。
早くだしを取りたい方は、
中火で煮立ってあくが出たら、
弱火にしてあくを取りながら5分たてば完成。
あとはこすだけです。
日本人がダシのおいしさに気づき和食文化に欠かせないものとなり、日本食はソース文化の西欧と違う発展をたどってきました。海と山が近く、食材が新鮮で食べられる環境もあり、食材を生かす調理方法や香味野菜が発達しました。今では世界中のシェフが、食材をよりおいしく食べる為に、だしを勉強しています。時間があるときは、家庭でだし作りをされてみてはいかがでしょうか?